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2026. 04. 14
生産者来日

時代がようやく「ラ・クレマ」に追いついた!? ヘッドワインメーカーが語るクール・クライメイトへの信念

 "カリフォルニアのブルゴーニュ"と称されるソノマ・コーストやロシアン・リヴァー・ヴァレーの地で、その冷涼な気候を最大限に活かしたワインを手がける「ラ・クレマ」。2017年からヘッドワインメーカーを務めるクレイグ・マカリスター氏が10年ぶりに来日し、創業当初から一貫して"クール・クライメイト"(Cool Climate/冷涼気候)に強いこだわりを持つ「ラ・クレマ」の哲学について語りました。それは単なる産地選びにとどまらず、ブドウ品種や醸造、サステナビリティにまで深く貫かれています。

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単独では初来日となったヘッドワインメーカーのクレイグ・マカリスター氏

創業時から冷涼地に確固たる信念を持つ「ラ・クレマ」

 「ラ・クレマ」は1979年にカリフォルニア州ソノマ・コーストで創業、現在はロシアン・リヴァー・ヴァレーに本拠地を置くワイナリーです。ワイナリー名の「ラ・クレマ」は、創業当初の名称であるスペイン語の「ラ・クレマ・ヴィネラ(La Crema Vinera)」に由来しています。これは、"最上のブドウ畑から生まれるもの"を意味しており、このワイナリー名自体が、「選び抜かれたブドウとテロワールがすべてである」、というワイナリーの思想を表しています。

 地球温暖化が進行している今では、ワイン造りにおいてクール・クライメイトは完全に価値軸の中心となっています。ですが、「ラ・クレマ」が創業した1970年代後半はそうした概念は浸透しておらず、濃厚で高アルコール、そしてカベルネ・ソーヴィニヨンで造られるワインが中心の時代でした。「ラ・クレマ」の創業者ロッド・バーグランド氏はそうした当時の主流から"あえて"外れました。ブルゴーニュ品種のピノ・ノワールとシャルドネは冷涼地でしか成立しない、そうした強い信念のもと、AVA(American Viticultural Area:米国政府が認定したブドウ栽培地域)が整備される前から冷涼地の可能性に賭け、理想とする畑を確保しました。流行を追わず、強い信念のもとクール・クライメイトを貫いた姿勢が、結果的に極めて時代の先を行っていたのです。

 近年、クール・クライメイトの産地として再評価が加速するソノマ・コーストやロシアン・リヴァー・ヴァレー。カリフォルニアは年間を通して温暖な気候がイメージされがちですが、この一帯は西を海岸山脈、東をマヤカマス山脈に挟まれ、さらに南のサン・パブロ湾から流れ込む冷たい空気の影響を強く受けることで、州内でも特に冷涼な気候条件にあります。

 「ラ・クレマ」はロシアン・リヴァー・ヴァレーを拠点とし、ソノマ・コースト、モントレー、さらにはオレゴン州ウィラメット・ヴァレーまで、創業から現在に至るまで冷涼な気候条件の産地のみを専門に手がけており、そうした特別な土地を絶えず探し続けています。クレイグ氏は「ラ・クレマ」の冷涼地のワイン造りについて次のように語ってくれました。

 「ラ・クレマの畑はすべて水はけの良い土壌を持つ冷涼な"メソクリマ*1"に位置しており、ブドウはゆっくりと時間をかけて成熟します。だからこそ、果実のピュアさを保ちながら、芯のある酸味と複雑味のあるワインが仕上がるのです。」 

 同じロシアン・リヴァー・ヴァレー内でも、霧がブドウ畑に長く滞留する区画や太平洋の海風の影響を受けやすい区画など、微細な局地気候の違いがあります。「ラ・クレマ」は、これらを分けて収穫・醸造することで、"冷涼気候の中の多様性"をワインに反映させています。

*1 メソクリマ:数km~数十kmの範囲で現れる局地的な気候で日本では「中気候」ともいう

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ラ・クレマがブドウを育てている地域は、ソノマ・コーストAVA、アンダーソン・ヴァレーAVAを中心に、冷涼なエリアばかり広範囲に及ぶ

クレイグ氏が語った、各産地とキュヴェの魅力

 今回、冷涼産地のポートフォリオ拡大に貢献してきたクレイグ氏が、ソノマ・コースト、ロシアン・リヴァー・ヴァレー、モントレーの3つの産地にフォーカスし、各地域の特徴とそこで造られるワインについて解説してくれました。いずれもソノマ郡を代表する冷涼系の銘醸地ではありますが、できあがるワインのスタイルにははっきりとした違いがあります。クレイグ氏による各ワインの魅力を伝える「一言」からも、スタイルの差をご実感ください。

「ソノマ・コースト」

ソノマコースト地図.jpgソノマ・コーストAVA。南に位置するのがサン・パブロ湾

 「太平洋に面し、ゴツゴツとした岩が連なる海岸線が印象的な地域です。早朝には海から霧が立ち上り、午後になると消えていくため、朝晩は涼しく日中は暖かい特徴的な気候が形成されます。長いハングタイムが確保できることから、ブドウの糖度を抑えつつ、自然な酸味が保たれます。実はソノマ・コーストの土壌は、フランス以上に様々な土壌タイプがあり多様性に富んでいます。バラエティに富んだ複雑な土壌からできるブドウを使ってワインを造る感覚は、まるで料理のようだと私は思っています。スパイスを組み合わせて、味わいをひとつにまとめる感覚ですね。」

SONOMA_COAST.jpg霧に包まれる冷涼なソノマ・コースト

『ソノマ・コースト ピノ・ノワール』

SC_PINOT.png "Vibrant"(生き生きした、酸のある)
~赤系果実の豊かな果実味とバランスのとれた酸味が楽しめる~
「グラスからは、チェリーやラズベリー、ストロベリーといった赤系果実の香りに、ジューシーな酸味、さらにほのかなハーブのニュアンスが感じられます。」

「ロシアン・リヴァー・ヴァレー」

ロシアンリヴァーヴァレー地図.jpgロシアン・リヴァー・ヴァレーの地図。中央に曲がりくねる川がロシアン・リヴァー

 「ロシアン・リヴァー・ヴァレーは、曲がりくねるロシアン川の周囲に森とブドウ畑が広がる緑豊かなエリアです。この川が気候形成の鍵となり、気温の変化や空気の流れを穏やかにしています。海から流れ込む霧が川沿いに内陸へと入り込み、ブドウ畑を包み込むのもこの地域ならでは。夜は涼しく、日中は暖かい気候で、ソノマ・コーストよりやや温暖な点が特徴で、それによってワインのスタイルもソノマ・コーストとは変わってきます。」

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ロシアン・リヴァー・ヴァレーのブドウ畑。

『ロシアン・リヴァー・ヴァレー ピノ・ノワール』

RRV_PINOT.png "Plush"(厚みのある、柔らかい)
~ふくよかで丸みのある、ソフトな味わいが魅力~
「ロシアン・リヴァー・ヴァレーは、カリフォルニアの中でも収穫が遅いエリアで、ブドウの熟度がソノマ全体と比べると高く、アロマやストラクチャーもよりしっかりと感じられます。ブラックベリーやブラックチェリーなど黒系果実のしっかりとしたアロマと、ジューシーで厚みのある果実味、丸みのある芳醇な味わいです。」

ナイン・バレル ピノ・ノワール』

NB_PINOT.png"Hedonistic"(快楽主義的な)
豊かな果実味と飲む喜びが楽しめるスペシャルな1本~
「ロシアン・リヴァー・ヴァレーのブドウで造られたワインをすべてテイスティングし、そこから最も出来が良かった9つの樽を厳選してブレンドして造るワイン。新樽率約50%のフレンチオーク樽で15カ月前後熟成します。凝縮感と複雑味が他の3つのキュヴェとは異なっており、より厚みのある果実味を楽しんでいただけます。」

「モントレー」

モントレー地図.jpgモントレーAVA

 

「霧主体のソノマと異なり、冷たい海風が冷涼な産地を形成するモントレー。モントレー湾の海水はカリフォルニア海流からなる湧昇流(アップウェリング)により非常に冷たく、その影響で冷涼な風が毎日のように内陸へ吹き込みます。その結果、緩やかに成熟したブドウから、豊かなアロマと酸を兼ね備えた、生き生きとしたニュアンスのワインが生まれます。」

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モントレーのブドウ畑

モントレー ピノ・グリ』

MT_PG.png "Delicate"(繊細な)
~繊細さとフレッシュさが際立つ、クリーンで軽やかなスタイル~
「ピノ・グリは、気温の低い夜間から早朝にかけて収穫します。発酵・熟成時に特に気を付けているのは温度管理で、15~20℃に調整しながら醸造し、ステンレスタンクのみで仕上げています。パイナップルやリンゴ、洋ナシのアロマに、ほのかなミネラルを感じていただけます。」

モントレー シャルドネ』

MT_CH.png"Exotic"(エキゾチック)
~焼いたパイナップルやパパイヤを思わせる、トロピカルフルーツの豊かな香り~
「香りからすぐに樽とトロピカルフルーツのニュアンスが感じられます。フレンチオーク70%、アメリカンオーク30%で熟成を行っており、豊かな果実実と美しい酸味、ほのかなナッツのニュアンスを備えた味わいです。」

モントレー ピノ・ノワール

MT_PN.png"Savory"(旨味)
~ノンフルーツのアロマが際立つ、凝縮感のある上品で落ち着いた印象 ~
「ソノマ・コースト・ピノ・ノワールと比較して、モントレーは"ノンフルーツのフレーヴァー"と表現しています。果実系のフレーヴァーはなく、ブラックティー、レザーやロースト香によって、より落ち着いた味わいに仕上がっています。」

 クール・クライメイトでのワイン造りを通して、「人生を豊かにする存在であり続けること」を信念とする「ラ・クレマ」。地域社会への貢献や環境への配慮にも力を入れており、カーボンポジティブ*2な未来を目指す取り組みを実践しています。ワイナリーでは大型ソーラーパネルを設置し、年間電力使用量の約70%を自給。さらに水資源を大切にし、2008年以降は全体の水使用量を12%削減するなど、冷涼地の個性を未来に残すために、サステナブルなワイン造りにも取り組んでいます。

*2 カーボンポジティブ:事業活動などで排出する二酸化炭素量よりも、吸収・削減する量の方が多い状態を指す考え方。森林保全や再生可能エネルギーの活用などを通じ、地球環境にプラスの影響を与えることを目指す。

 ロシアン・リヴァー・ヴァレーやソノマ・コースト、モントレーなど、冷涼地への飽くなき執着のみならず、それらを"活かしきる"ことこそが、「ラ・クレマ」の最大のこだわりと言えるでしょう。時代の先の先を行く「ラ・クレマ」のこれからにも、ぜひご注目ください。

メルマガ用ボトル画像.jpg
左から『モントレー・ピノ・グリ』、『モントレー・シャルドネ』、『モントレー・ピノ・ノワール』、『ソノマ・コースト ピノ・ノワール』、『ロシアン・リヴァー・ヴァレー・ピノ・ノワール』、『ナイン・バレル ピノ・ノワール』

■ラ・クレマ  https://www.enoteca.co.jp/producer/detail/68