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2025. 12. 09
生産者来日

家族経営で受け継がれる、小さなシャンパーニュメゾン「ポール・デテュンヌ」のこだわり

 小規模なシャンパーニュメゾンでありながら、愛好家を魅了し続けている「ポール・デテュンヌ」。このたび、オーナー夫妻が来日し、ワインショップ・エノテカ 広尾本店などで特別イベントを開催しました。

 アンボネイ村で400年以上の歴史を持つメゾンは華美な宣伝や演出に頼ることなく、着実にその名を広めてきました。家族経営だからこそ守られてきた職人技や、手仕事に支えられたシャンパーニュ造り。そのこだわりを、4代目オーナーのピエール・デテュンヌ氏と奥様のソフィー・デテュンヌ氏から直接伺いました。

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↑左からオーナーのピエール・デテュンヌ氏とソフィー・デテュンヌ氏

■小規模メゾンだから成しえる細やかなワイン造り

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 「ポール・デテュンヌ」は、現オーナーであるピエール氏の曽祖父によって1610年に創業されました。現在はピエール氏と、結婚30年になる妻のソフィー氏の二人三脚でメゾンを支えています。

 二人には三人の娘がおり、25歳になる次女のエマ氏も5年前よりワイン造りに加わっています。400年以上続く伝統を守りながら、新しい世代とともに未来を築いています。イベントではソフィー氏がスピーチを務め、ピエール氏が優しい笑顔で見守る姿が印象的でした。

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 2001年からリュット・レゾネ(減農薬栽培)に取り組んでいた「ポール・デテュンヌ」ですが、2019年から有機農法への転換を決意し、現在はオーガニック認証も取得しています。

 その理由について、ソフィー氏は「娘に化学肥料を触らせたくなかったから」と語りました。家族を思う気持ちが、そのままワイン造りに反映されています。

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 そしてメゾンの特徴として語られたのが「オーク樽」の存在です。「大手メゾンは発酵や熟成にステンレスタンクを使うことが多いですが、私たちはオーク樽を使っています。これは小さいメゾンだからこそ可能なことです。オーク樽は"生きている"ので、特別な何かを持っているワインには欠かせません」とソフィー氏は話します。

 オーク樽はステンレスタンクと比べて場所を取り、衛生面の管理を含め手間もかかります。特に発酵中は樽ごとに状態を細かく見極める必要があり、生産量が多いと物理的に対応できなくなるため、大規模生産では難しいのだそうです。

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 そんなオーク樽で発酵と熟成が行われる1本が『ブラン・ド・ブラン』です。シャルドネ100%でありながら、どこかピノ・ノワールに通ずるヒントを感じるようなキュヴェだと言い、「日本食にピッタリです。私はイカが大好きなので、イカのお刺身と合わせて楽しみたい」と笑顔で語りました。

■土壌の個性が生む最高峰のピノ・ノワール

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 「ポール・デテュンヌ」が拠点を置くアンボネイ村は、世界的に知られるピノ・ノワールの名産地です。所有する7haの畑はすべてアンボネイ村にあり、村全体がグラン・クリュの格付けを持つため、造られるすべてのシャンパーニュがグラン・クリュという贅沢な環境にあります。

 近年では、著名なシャンパーニュメゾン「クリュッグ」が近隣に新しい施設を建てました。ソフィー氏は「クリュッグの隣にポール・デテュンヌがあるのではなく、ポール・デテュンヌの隣にクリュッグができたんです!」と笑って言いました。ちなみに単一畑キュヴェの「ブー・デュ・クロ・ブラン・ド・ノワール」のラベルには、このクリュッグの施設が小さく描かれています。

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↑ブー・デュ・クロ・ブラン・ド・ノワール、ラベルデザインの担当は娘のエマ氏

 そんな「ブー・デュ・クロ・ブラン・ド・ノワール」とともにメゾンの真髄を表すキュヴェだと語ったのが「レ・クレイエール・ブラン・ド・ノワール」。どちらもブドウは100%ピノ・ノワール、発酵も熟成もすべてオーク樽で行われ、造り方はまったく同じです。異なるのは土壌だけ。ソフィー氏は以下のように違いを語りました。

ブー・デュ・クロ:果実味豊か、アルビアル層(沖積土)の土壌が生むエネルギッシュな味わい

レ・クレイエール:土壌はチョーク質が多く、ミネラル感や塩味のニュアンスが際立つ

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↑左がレ・クレイエールの土壌、右がブー・デュ・クロの土壌

 飲み比べることで、アンボネイ村のピノ・ノワールの多様性、そして土壌の違いがワインにもたらす個性を実感できます。

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 「ポール・デテュンヌ」のシャンパーニュには、家族経営のメゾンならではの温かさとこだわりが詰まっています。オーガニックへの転換やオーク樽での発酵・熟成など、家族の価値観や手仕事が、ワインそのもののスタイルを形づくっています。

 さらに、アンボネイ村という特別な土地が育むピノ・ノワールの個性も大きな魅力の一つ。単一畑ごとの違いを味わうことで、土壌や畑の特徴がどのように味わいに表れるのか、その奥深さを教えてくれます。

 家族経営の小さなメゾンだからこそ実現できる丁寧なワイン造り。ポール・デテュンヌのシャンパーニュは、飲むたびに造り手の思いと土地の力を感じられる、特別な一杯と言えるでしょう。

■ポール・デテュンヌ  https://www.enoteca.co.jp/producer/detail/164