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「オーパス・ワン」より醸造責任者 マイケル・シラーチ氏が来日 最新ヴィンテージ2022について語る
「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」をメドック格付け第一級にまで引き上げたといわれる伝説の当主、フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵と、カリフォルニアワイン界の重鎮ロバート・モンダヴィ氏。2人の巨匠のコラボレーションで1978年に設立した、ワイン愛好家垂涎のワイナリーが「オーパス・ワン・ワイナリー」です。このたび、その精神を受け継ぐ醸造責任者、マイケル・シラーチ氏が来日し、最新ヴィンテージ2022年について語りました。
■オーパス・ワンを導く、マイケル・シラーチ氏の哲学
オーパス・ワン・ワイナリーの醸造責任者マイケル・シラーチ氏
カリフォルニア大学デイヴィス校とボルドー大学の両方で醸造学を学び、「スタッグス・リープ・ワインセラーズ」をはじめとする世界トップクラスのワイン造りに携わってきたマイケル・シラーチ氏。2001年に「オーパス・ワン・ワイナリー」に参加し、2004年から醸造責任者を務めています。
シラーチ氏のワイン造りの信念は、「伝統を尊重しながら、常により良い方法を探る」こと。『オーパス・ワン』の醸造を任されるにあたり、1979年以降のすべてのヴィンテージをテイスティングし、そのスタイルを科学的に分析することから始めたといいます。そして、その結果をもとにナイト・ハーヴェストの実施やビオディナミ農法を導入するなど、これまでに数々の改革を行ってきました。
2021年には、従業員、地域社会、そして地球にとって大切な行動や活動を明確にした「2030年ビジョン」を打ち立て、ブドウ畑からワイナリーに至るまで様々なサステナブルな取り組みを実施するなど、未来のワイン造りを見据えて様々な改革に取り組んでいます。
■最新2022年ヴィンテージの気候と収穫
そんなシラーチ氏に、2022年ヴィンテージの特長について伺いました。
「2022年は、冬に例年を300ミリ上回る降水量を記録し、春先も不安定な気候が続く厳しい状況からスタートした年でした。」
しかし、開花期の天候は安定し、ブドウの生育は順調に進行。夏の終わりには記録的な熱波が襲いましたが、『オーパス・ワン』のチームはそれを見越して、朝3時からのナイト・ハーヴェストを実施したそうです。
「朝の涼しい時間帯に収穫することで、ブドウの酸とアロマを最大限に保ちます。熱波の前に収穫を終えられたことが、今年の成功につながりました」とシラーチ氏。夜明け前の作業では、トラクターにエスプレッソマシーンを積み、作業員たちが温かいコーヒーで一息つく光景も見られたそうです。
ブドウの熟度判断は、見た目ではなく実際の味覚に頼ります。シラーチ氏は収穫時期には朝6時半から畑を歩き、ブドウを試食して皮や果汁、種の状態を確かめます。種の色が緑から茶色く変わるタイミングを見極めることが鍵だといいます。
ブレンドは複数区画をブラインドテイスティングで検討し、チーム全員で議論を重ねて最適な比率を導き出します。
「最終的な決定は私がしますが、チームメンバーと話し合うことが非常に大事だと思っています。チームで意見を出し合うことで、自分では思いつかなかった意見も出たりします。そういった意見を尊重しています。」
■クラシックを極めた『オーパス・ワン』2022年の真髄
最新2022年ヴィンテージの『オーパス・ワン』(右)と『オーヴァチャー』(左)
こうして生まれた2022年ヴィンテージの『オーパス・ワン』は、力強さとエレガンスの両立が印象的です。香りにはオリーブやシガーボックス、黒鉛の香りを背景に、ブルーベリーやカシス、乾燥したバラの花びらが豊かに広がります。
口に含むと鮮やかな赤系果実の風味とともに、ココアやオレンジピールのニュアンスが重なり、調和の取れたエレガントな味わいを感じられ、余韻には濡れた石やバニラ、コーヒーの香りが穏やかに残ります。きめ細やかなタンニンとジューシーな果実味が長期熟成の可能性を感じさせます。
シラーチ氏は、味わいについて次のように語りました。
「私たちが目指しているのは"クラシックなワイン"です。クラシックとは、その土地で生まれるブドウがそのままワインに変身したようなワインのこと。造った人の指紋や足跡がつかないよう、畑がそのままワインに表れるような造りを目指しています。」
■進化する『オーヴァチャー』、その新たな挑戦
『オーヴァチャー』は、1993年に誕生した『オーパス・ワン』のセカンドワインです。もともとは『オーパス・ワン』に使用されなかった樽のワインを活かすために造られ、1993年から2020年までノンヴィンテージで生産されていました。しかし、消費者やマーケットの要望を受け、現在は各年の個性を反映したヴィンテージワインとして造られています。
「ノンヴィンテージでは『オーパス・ワン』の残ったワインで造っていましたが、現在はナパ・ヴァレーのオークヴィルにある自社畑の中でオーヴァチャー専用の区画を決めています。」とシラーチ氏。生産量は『オーパス・ワン』の約10%にとどまり、希少性の高いワインとしても知られています。
「2022年の『オーヴァチャー』は、赤い果実の明るい果実味が印象的です。糖分の甘さではなく、果実そのものの凝縮感が生む自然な甘やかさです。酸とのバランスが良く、思わず食事を合わせたくなるような伸びやかさが特長です。」
香りにはチェリーやスミレ、煎ったアーモンド、アニス、そしてワイルドベリーが複雑に重なり、余韻にはモカや紅茶のニュアンスが漂います。
シラーチ氏は最後に、ワイン造りへの姿勢についてこう語りました。
「常に自分たちを刺激して新しいことに挑戦しないと、成長はそこで止まってしまう。私たちは評価や点数を気にしないワイナリーとして知られていますが、いい土地があれば80点は取れるのは普通で、それを90点、95点、100点を獲得できるワインにするには計り知れない努力が必要だと思っています。」
シラーチ氏の完璧を追い求める姿勢と、チームの力を信じる温かさ。その両方が『オーパス・ワン』という唯一無二のワインを支えています。
変化の多い2022年の気候を乗り越えて生まれたこのヴィンテージは、まさに「自然と人との対話」が結実した一本といえるでしょう。日本では2025年12月以降の発売を予定しています。※
※発売時期は変更となる可能性がございます。
■オーパス・ワン・ワイナリー https://www.enoteca.co.jp/producer/detail/77