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「テヌータ・サン・グイド」からオーナーファミリーが来日! 進化する『グイダルベルト』の魅力とは
「イタリアワインの至宝」サッシカイアを手がけるワイナリー「テヌータ・サン・グイド」。イタリアワインの新時代を切り開き、ワイン好きでその名を知らない人はいないほどの名門です。
そんな由緒あるワイナリーから、5月末にオーナーファミリーのプリシラ・インチーザ・デッラ・ロッケッタ氏が来日。今回は、ワイナリーの歴史やサッシカイア誕生の背景、そして彼らがサッシカイアとは異なるアプローチで、より多くの人々にボルゲリのユニークなテロワールとテヌータ・サン・グイドの魅力を伝えるために生み出したワイン、『グイダルベルト』の魅力について語っていただきました。
■進化し続けるワイナリー
↑オーナーファミリーのプリシラ・インチーザ・デッラ・ロッケッタ氏
テヌータ・サン・グイドは1921年、トスカーナ州西部の地中海沿岸にあるボルゲリの地に設立されました。この地はもともと、創業よりも900年以上も前から一族が所有していた約2500haの広大な土地です。ワイナリー設立のきっかけは、創業者マリオ・インチーザ侯爵(プリシラ氏の祖父)が当地の令嬢と結婚して土地を継承したことでした。ボルドーワイン愛好家だったマリオ侯爵は、ボルゲリエリアに広がる海に近く小石の多い土壌がカベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランに適していることを発見、その苗を植え栽培を始めました。こうして誕生したのが、後に「スーパータスカン※1の元祖」と称される『サッシカイア』でした。また、当初は市場に出すつもりではなく、家族のためだけに造っていたワインであったこともプリシラ氏が教えてくれました。
マリオ氏の息子であり、プリシラ氏の父であるニコロ・インチーザ・デッラ・ロッケッタ氏が1960年代後半に本格的にワイナリー経営に参画。『サッシカイア』の可能性に着目し、ワイナリーの拡大と本格的な市場展開を推進します。1971年に『サッシカイア』が初めて市場に登場し、1978年には英国の権威あるワイン誌「デキャンタ」主催のブラインド・テイスティングで33種類のワインが競い合う中、ベスト・カベルネの座を獲得。一躍世界のトップワインへ名乗りを上げます。1992年には「ワイン・アドヴォケイト」でイタリアワイン初の100点を獲得し、世界的評価を確立しました。2024年にリリースされた2021年ヴィンテージも同誌にて100点を獲得するなど、現在も世界中の愛好家を魅了し続けています。
※1:スーパータスカン:イタリア・トスカーナ地方で造られる高品質な赤ワインの一種で、伝統的なイタリアのワイン法に従わず、独自のスタイルで造られたワイン。品質の高さから世界的に注目された。
■生物多様性を重視する畑
ワイナリーの畑は、トスカーナ州の古都シエナから西に位置するボルゲリに広がっています。トスカーナを代表するワイン産地としてキャンティがよく知られていますが、ボルゲリはキャンティとは異なり、温暖な地中海性気候が特徴です。一族が所有する約2500haの土地のうち、実際にブドウ畑として使われているのはわずか約120ha、全体の5%ほどに過ぎないとプリシラ氏は語ります。畑は森の中、標高60〜400mの間に点在しており、標高が高いエリアでは石灰岩や小石が多く、低地に近づくと粘土質の土壌が増えていくのが特徴です。また、所有する畑についてプリシラ氏は次のように語っていました。
「海岸沿いに位置するボルゲリは海風の良い影響があり、暑くなりすぎるということがありません。生物多様性を育む森やオリーブの木々に囲まれている他、森から吹き抜ける涼風の効果もあり、複雑で特長的な気候に恵まれています。敷地内で農作物を育てることも重要視していて、その地を大切にすればするほど、より良い農作物を得られると考えています。」
「テヌータ・サン・グイド」が大切にしているのは自然環境だけではありません。そこで働く人々への思いやりもまた、彼らの哲学の一つです。現在、ワイナリーには約180人の従業員が在籍しており、ブドウ栽培やワイン醸造に加え、競走馬の世話にも携わっています。長年勤めるスタッフも多く、なかには世代を超えて働く家族もいるといいます。プリシラ氏は、そんなワイナリーの雰囲気について「まるで大きな家族のようです」と語っていました。
■『グイダルベルト』誕生秘話とその魅力
『サッシカイア』に使用するカベルネ・ソーヴィニヨンの収量が増え、高品質で安定した生産が可能になったことを受け、この品種を用いて『サッシカイア』とは異なる表現を目指したワイン『グイダルベルト』が2000年に誕生しました。プリシラ氏は、『グイダルベルト』の強みとして次の3点を挙げています。
- 「テヌータ・サン・グイド」のDNAを持つエレガントな味わい
- 親しみやすく、アプロ―チャブルなスタイル
- 優れた熟成ポテンシャル
当時、世界的にメルロとのブレンドが人気で、かつボルゲリはメルロの栽培に適していたため、ブレンドにメルロが用いられました。その結果、ワインには柔らかさと丸みのある味わいが感じられます。また、カベルネ・ソーヴィニヨンはワインにエレガンスを与えており、プリシラ氏は「収穫のタイミングがエレガンスの鍵」と話されていました。その適切なタイミングを逃さないことが、品質に繋がるのだそう。プリシラ氏は先日2000年のファースト・ヴィンテージを試飲した際、「まだ十分に熟成の可能性を感じた」と語っており、「元々は早く飲んで楽しいワインというコンセプトで造りだしたが、現在は熟成のポテンシャルも見直さないといけないという意見がワイナリーの中で挙がっている」と教えてくれました。
また、『グイダルベルト』の名はプリシラ氏の高祖父であるグイダルベルト氏に敬意を表したものとのことで、このグイダルベルト氏は、ボルゲリの景観として有名な糸杉並木の道を設計した方なのだそう。ボルゲリがまだワイン産地として注目される100年以上も前の時代に、「将来の世代のために何かを残したい」という思いから糸杉を植樹し、今やボルゲリを象徴する風景のひとつとして認知される景観を造り出した、偉大な人物であるというお話もしていただきました。
↑糸杉並木通り
改めて、プリシラ氏は『サッシカイア』と『グイダルベルト』のあり方についてこう語ります。
「どちらかがファースト、セカンドではありません。両方が「テヌータ・サン・グイド」のテロワールの個性を、それぞれの角度から表現しています。『グイダルベルト』は『サッシカイア』と価格帯も異なるため、より多くの方々にそのテロワールの表現に親しんでいただけたらと思いますし、いずれ『サッシカイア』による表現も感じていただけたらと思います。」
■2021年ヴィンテージと今後の取り組みについて
プリシラ氏は『グイダルベルト』の2021年ヴィンテージについて、「ボルゲリにとっても、イタリアのワイン史においてもパーフェクトな年」と語ります。気候条件に恵まれ、収穫期もスムーズで、特にカベルネ・ソーヴィニヨンはゆっくりと成熟し、非常に高い熟度で収穫できたとのこと。2021年ヴィンテージの品質の高さを強調されました。
「現在24ヴィンテージ目です。誕生から25年の月日を経ていますが、今のスタイルもまだ完成形ではないと考えています。そのひとつの事例として、新しい熟成用のワインセラーがこの夏できる予定です。より広いスペースを確保することで、『グイダルベルト』に最適な樽熟成の期間を設けられると考えています。」
今後の品質向上への飽くなき探求心と、さらなる『グイダルベルト』のポテンシャルが期待できそうです。
「テヌータ・サン・グイド」の精神を受け継ぎ、熟成を待たずともそのエレガントさを楽しめるワインとして誕生した『グイダルベルト』。親しみやすさと同時に、熟成による奥行きも感じさせるその進化から、今後も目が離せません。
↑『グイダルベルト』2021年
■テヌータ・サン・グイド
https://www.enoteca.co.jp/producer/detail/7