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2025. 04. 08
生産者来日

テロワールの個性を表現するブルネッロ・ディ・モンタルチーノ!生産者が語る、ワイン造りの哲学

 エノテカ株式会社(本社:東京都港区、社長:堀 慎二)が正規代理店として取り扱う、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ4生産者が来日し、ショップでのテイスティングイベントを開催しました。近年、テロワールの個性を表現するスタイルで注目を集めているブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。そのワイン造りについて、レ・ラニャイエとイル・マッロネートのオーナーに、想いやこだわりを訊きました。

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↑写真左から、今回来日した「イル・マッロネート」のオーナー、アレッサンドロ・モーリ氏、「レ・キウーゼ」のオーナー兼ワインメーカー、ロレンツォ・マニェッリ氏、「レ・ラニャイエ」のオーナー、リッカルド・カンピノーティ氏、「サリクッティ」のオーナー、ザビーネ・アイヒバウアー氏

■畑の個性を表現する、レ・ラニャイエ

 「ピュアでエレガントなワインを造ること」をモットーに掲げる生産者、レ・ラニャイエ。ブドウのピュアな味わいを表現するために2005年にオーガニック認証を取得し、ワイン造りを行っています。彼らの特徴はモンタルチーノの北部から南部まで、四つのエリアに畑を所有していること。それぞれ標高が異なるため、土壌や気候の違いが生まれ、場所によって異なる表現のワインを造ることができます。

 現オーナーのリッカルド・カンピノーティ氏がワイナリーを立ち上げた2002年は、それまでアメリカで人気だった力強いワインが主流だったところから、クラシカルなブルネッロが受け入れられ始めたタイミングだったと言います。ちょうど彼らが所有していた畑は標高が高く冷涼な気候で、エレガントなブルネッロを造ることができたので、トレンドにも助けられたと語りました。

IMG_0662.jpg↑「レ・ラニャイエ」のオーナー、リッカルド・カンピノーティ氏

 標高の違いによりテロワールが異なることを活かし、「畑の個性を表現したい」という想いから単一畑キュヴェを手がけています。

 単一畑キュヴェとして最初にリリースしたのは「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ ヴェッキエ・ヴィニェ」。「ラニャイエ」というエリアの畑で、モンタルチーノの中では最も標高が高い場所の一つです。約620mという高い標高による冷涼な気候によって、アロマが強く、美しい酸味を持つワインに仕上がります。一方で、別の単一畑から造られる「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ フォルナーチェ」は、より丸みがありリッチなスタイル。ラニャイエよりも低い約300mの標高で、より南部に位置する丘陵地帯「カステルヌオーヴォ・デッラバーテ」というエリアの畑で、このような味わいの違いが生まれるそう。他には「モントゾーリ」というわずか8名の生産者のみが区画を分けて所有するエリア、そして単一畑キュヴェとしてはリリースの少ないエリア「ペトローゾ」にも畑を所有しています。

 これらの単一畑キュヴェは、醸造方法は畑によって変えておらず、その味わいの違いは畑の違いのみ。その畑の個性を存分に楽しめるワインとなっています。

IMG_9929_2.jpg↑「レ・ラニャイエ」の単一畑キュヴェ
左から「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ カサノヴィナ・モントソーリ」「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ パソ・デル・ルメ・スペント」「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・ペトロ-ゾ」「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ ヴェッキエ・ヴィニェ」

■十数年のうちでベストといえる2020年ヴィンテージ

 「2020年ヴィンテージはここ十数年のうちベストだ」と、リッカルド氏は語ります。2019年は評論家の間ではグレートヴィンテージと評されており、全ての生産者が良い出来のワインを造れるほど良いブドウが収穫できました。その一方、2020年は雨が少なく温暖で、8月中頃~9月に急激に雨が降ったため、そのときの対応によって出来が変わったヴィンテージだったのだとか。

 2020年ヴィンテージは標高の高い畑を持つ生産者にとっては特に素晴らしかったと言います。「表現したいエレガントなワインを造ることができた」と彼らの哲学を反映したワインであると語りました。今回来日した四つの生産者(イル・マッロネート、レ・キウーゼ、レ・ラニャイエ、サリクッティ)の2020年ヴィンテージはどれもここ十年から二十年のうちベストといえる出来とのことです。

■「造り手もテロワールの一部である」イル・マッロネートの哲学

 「ワイナリーの歴史や自分自身も知ってほしい」、そう語ったのはイル・マッロネートのアレッサンドロ・モーリ氏。「テロワールは土壌や気候のみならず、造り手もその一部」と考えているそうです。


IMG_0687.jpg↑「イル・マッロネート」のオーナー、アレッサンドロ・モーリ氏

 1974年アレッサンドロ氏の父が設立した、イル・マッロネート。モンタルチーノ北部にて自然、かつ伝統的な造りでブルネッロ・ディ・モンタルチーノを造る生産者です。もともと弁護士の家系で、ノウハウがないところからのスタートだった彼ら。学びながらワイン造りを行っており、1979年、その年のワインの出来が良かったことから、販売を始めたのだそう。

 アレッサンドロ氏も弁護士として働いていましたが、「改めて自分の人生を考えたとき、ワイン造りには家族との楽しい思い出があり、もう一度楽しくワイン造りをしたくなった。そこから50年間、サンジョヴェーゼと向き合い続けている」と話しました。

 「自然に任せること」を哲学としている彼ら。人の手を加えないことで畑やブドウのニュアンスがそのまま反映されると考えています。収量制限をしないことや温度のコントロールをせず発酵を行うなど、自然のままにワイン造りを行っています。トレンドに合わせるのではなく、「自分が目指すベルベットのようなワイン、圧倒的に品質の良いワインを追及しています」と語りました。

IMG_0621.jpg↑「イル・マッロネート」が手がけるワイン3種
左から「ロッソ・ディ・モンタルチーノ イニャッチョ」「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ セレツィオーネ マドンナ・デッレ・グラツィエ」

 近年、モンタルチーノのテロワールを表現しようとする生産者が増え、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのスタイルは多様化しています。その中でこの二つの生産者は、自身の哲学や畑の特色を表す、今のブルネッロを象徴するようなワイン造りを行っています。彼らの想いと共に個性が光る、ブルネッロのテロワールをぜひ体感してみてください。