NEWS

お知らせ
2025. 04. 17
生産者来日

クロ・サンテューヌ100周年!12代目ジャン・トリンバック氏が語る「トリンバック」のこれから

 フランス・アルザスきっての名門ワイナリー「トリンバック」より、12代目共同経営者であるジャン・トリンバック氏が来日。ファーストヴィンテージから数えて100周年を迎える「リースリング・クロ・サンテューヌ」2019年を含む代表キュヴェ6種類のテイスティングイベントを開催し、ワイナリーについて語っていただきました。

IMG_0789.JPG
12代目共同経営者ジャン・トリンバック氏

 トリンバックは1626年に創業し、4世紀13代にわたって歴史と伝統を家族経営で育んできた、由緒ある名門ワイナリーです。1898年に8代目フレデリック・エミール氏の造ったワインが、ブリュッセルで行われた国際ワインコンクールで最高位の賞を獲得して以降、世界中のワインラヴァーに愛されるワインを数多く造り続けてきました。

 ワイナリーは現在、12代目のピエール・トリンバック氏とジャン・トリンバック氏、そして13代目にあたるピエール氏とジャン氏の4人の子どもたちにより運営されています。彼らのワイン造りへの情熱によって、2021年にはワイン&スピリッツ「TOP100ワイナリー」に見事選出。トリンバック家の伝統や妥協なきスタイルを守りながら、揺るぎないノウハウを継承しています。

 ジャン氏は「家族全員が参画することで伝統を脈々と受け継ぎ、同じ信念でワインを造り続けられることが、家族経営の良いところです」と語りました。

100周年を迎えた記念すべきクロ・サンテューヌ

 トリンバックが所有する自社畑は65haのうち約30%をグラン・クリュが占めており、アルザスの他の生産者と比べても高い割合となっています。

 中でも輝かしい功績を支える畑の1つがクロ・サンテューヌ。トリンバック家が200年以上前から所有する1.67haの極小の畑で造られるワインは"アルザスのロマネ・コンティ"とも称され、世界中のワインラヴァーが愛してやまない銘品です。

 生産開始から100周年の節目となる2019年ヴィンテージが、今年リリースされました。

「アルザスだけではなく、世界の中でも最も有名なワインの一つがクロ・サンテューヌです」とジャン氏。

IMG_0830.JPG
↑100周年アニバーサリーの文字が入った特別ラベル仕様のリースリング・クロ・サンテューヌ 2019

 トリンバックでは大半のブドウがユナヴィール村、リボヴィレ村、ベルグハイム村の3つの村で栽培されており、それぞれの土地の特徴を反映したワインが造られています。クロ・サンテューヌは、その中の1つであるユナヴィール村にあるロザケールという区画の単一畑のブドウのみを使用しています。

 ユナヴィール村はヴォージュ山脈の谷にあり、南北に吹き抜ける風による冷涼な気候が特徴で、そこで育ったブドウから、フィネスや酸を保った高品質なワインに仕上がります。

 アルザスの土壌は石灰質土壌メインで、ポケット的に砂利質土壌やスレート土壌などが入り混じる、モザイク土壌であるという特徴があります。ロザケールはミッシュルカルクと呼ばれる貝殻を含む、石灰岩中心の土壌で構成される区画です。

 トリンバックのワイナリー背面に位置するグラン・クリュ・ガイスベルグが急斜面であるのに対し、クロ・サンテューヌは緩やかな斜面に広がっています。また、50年以上の古樹のリースリングが高密度で栽培されており、凝縮感のあるブドウが育ちます。

 「我々はワインメーカーであり農家でもある」とジャン氏が語るとおり、トリンバックは栽培するブドウの品質を何よりも大切にしており、ブドウそのものの品質の高さをワインに反映させています。

 その信念に基づき、クロ・サンテューヌのブドウ樹も厳格に管理がされており、20年以上にわたって栽培を担当するローラン氏たった一人にのみ剪定が許されているのだそうです。

2019年は、クロ・サンテューヌらしい仕上がり。冷涼な年で、今はまだ閉じた印象もあるが、3040年の熟成に耐えうることができます。時間の経過とともに開いていくリースリングの熟成ポテンシャルも表した、非常に卓越したヴィンテージです」

■伝統を継承しながら進化し続けるワインメイキング

IMG_0828.JPG

↑トリンバックが自社畑のブドウを使用して手掛ける代表キュヴェ6種類。左からリースリング・レゼルヴ 2022、ピノ・グリ・レゼルヴ・ペルソネル 2017、リースリング・キュヴェ・フレデリック・エミール 2018、リースリング・グラン・クリュ・ガイスベルグ 2018、リースリング・クロ・サンテューヌ 2019、ゲヴュルツトラミネール キュヴェ・デ・セニュール・ド・リボピエール 2016

トリンバックは伝統的に、すべてのキュヴェにおいて同様のプロセスで醸造を行っています。

 「私たちは醸造よりもブドウの栽培にフォーカスを当てており、ブドウの違いがワインに如実に表れている」とジャン氏が語るとおり、トリンバックでは丁寧な剪定やブドウ樹を健全に保つための技術を採用し、ブドウの品質をとことん追求。契約農家においても彼らの信念に基づいた非常に高品質なブドウ造りが徹底されています。

 そのこだわりによって、品種ごとの特徴をしっかり引き出し、ブドウや土壌の個性を余すことなく表現したバランスのよい味わいの辛口ワインが造られています。

 また、2008年から65haの自社畑と80haの契約農家すべての畑においてオーガニック栽培を開始。2023年ヴィンテージより正式にオーガニック認証を取得し、環境に配慮して自然を守ることを第一に考えたワイン造りを積極的に行っています。

IMG_9252.png
↑トリンバックのInstagramhttps://www.instagram.com/trimbach/)より、畑で放牧されている羊たち。ジャン氏の息子であるジュリアン氏が現在12頭飼っており、畑の維持と土壌の肥沃化に役立っています。

400周年も目前 「トリンバック」のこれから

 クロ・サンテューヌ100周年、さらに2026年にワイナリー創業400周年を迎えるにあたって、トリンバックのこれからについてジャン氏に伺いました。

「私たちは400年という長い歴史を築いてきました。そしてこれからも歴史を続けていくためには、謙虚な姿勢を保っていかなければならないと考えています。

 地球温暖化や消費者の変化によって、ワイン市場は現在困難な局面を迎えています。しかし私たちは卓越した畑と受け継がれてきた技術によって伝統的に良いワインを造り続けており、そして私たちのワインを求め続けてくれている人々がいます。100周年を迎えたクロ・サンテューヌも世界中から望まれているワインの一つです。

 ワインメーカーとして創業400年を超えたその先も、トリンバックとしてさらに歩みを進めていきます。」

IMG_0814.JPG
↑テイスティングイベントにてトリンバックの信条を語るジャン氏