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2024. 12. 17

「ルイ・ラトゥール」CEOフローラン・ラトゥール氏が初来日!ワイン造りの哲学と"今"を語る

 エノテカ株式会社(本社:東京都港区、社長:堀 慎二)が20249月より正規代理店として取り扱うフランス・ブルゴーニュのワイナリー「ルイ・ラトゥール」より、2022年にCEOに就任したフローラン・ラトゥール氏が初来日し、「ルイ・ラトゥール」のワイン造りの哲学と"今"を語ってくださいました。

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『コルトン・シャルルマーニュ』を手にするCEOのフローラン・ラトゥール氏

 ブルゴーニュを代表する老舗メゾン「ルイ・ラトゥール」は、1895年に偉大な白ワイン『コルトン・シャルルマーニュ』を初めて造り、その名を広めました。1797年の創業以来200年以上にわたる歴史を持ち、現在ではブルゴーニュにおいて最大規模のグラン・クリュを所有し、高品質なワインを生み出しています。その伝統を紡ぎ、現在メゾンを率いているのが、2022年にCEOに就任したフローラン・ラトゥール氏です。

「『ルイ・ラトゥール』は家族経営のメゾンで、私はその11世代目にあたります。200年以上続く家業として、『エノキアン協会1』という国際組織にも加盟しています。この協会には月桂冠株式会社やヤマサ醤油株式会社といった日本の企業も多く所属しており、日本とのつながりを感じられることを非常に誇りに思っています。」

11981年に設立された経済団体で、家業歴200年以上の企業のみ加盟を許される老舗企業の国際組織。フランスのパリに本部がある。

長年にわたり卓越した品質のワインを造り続けている「ルイ・ラトゥール」には、時を超えて受け継がれる価値観が息づいています。

「私たちは、手仕事の大切さを何よりも重んじる『アルチザン』として、日々のワイン造りに真摯に向き合っています。アルチザンはフランス語で職人を意味し、『すべての商品に関わるものは、自らの手で』という信念のもと、一つひとつの木樽さえも、自社工場で熟練の職人たちが丹精込めて手作りしています。」

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自社工場では年間約3,500の樽が製造される

ワイン哲学を守り、次世代へと繋げていくために変わらぬ信念が必要である一方で、フローラン氏は新たな挑戦を恐れず、時代の流れに合わせて進化し続けることも重要だと言います。

「私たちは、数多くのグラン・クリュワインを生産しておりますが、より多くのお客様に手に取りやすい価格でシャルドネやピノ・ノワールから造られるワインを楽しんでいただきたいという想いから、新たな産地でのワイン造りに挑戦しています。1970年代から1980年代にかけては、フランス・ローヌ地方のアルデッシュや南東部のヴァールでブドウ栽培を始め、2000年代以降はボジョレー南部のピエール・ドレ地域にも拡大し、そこで新たなワインを生み出しています。」

現在、「ルイ・ラトゥール」は130を超えるアペラシオンからワインを造り、その価格帯は3,000円台から数万円にまで広がります。これほど幅広いラインナップを誇るのは、ブルゴーニュのメゾンの中でも非常に珍しいことです。また、2003年にはシャブリで長い歴史をもつ「シモネ・フェブル」を買収するなど、「ルイ・ラトゥール」の新たな挑戦は枚挙にいとまがありません。

さらに、『コルトン・シャルルマーニュ』の影響で白ワインのイメージが強い「ルイ・ラトゥール」ですが、ここ15年ほどは赤ワインにもますます力を注いでいると、今回フローラン氏とともに来日したコマーシャル・ディレクターのブリュノ・ペパン氏が教えてくれました。

「私たちの赤ワインは、繊細さと上品さを兼ね備えた伝統的なスタイルが特徴です。1990年代前半に濃厚でパワフルな赤ワインが流行した際、いくつかの生産者がそのスタイルに追随しましたが、私たちは一貫してソフトな抽出を続けました。そのため、当時は私たちの赤ワインが薄く感じられることもあったかもしれません。しかし、2000年代中盤に入り、濃厚なスタイルのピノ・ノワールに対する評価が変わり、よりバランスの取れたスタイルが求められるようになりました。それを受けて、私たちも自分たちの赤ワインを再評価し、果実味、熟度、酸とのバランスを見直しました。それから約15年、私たちは『ルイ・ラトゥール』ならではのエレガントで洗練されたスタイルを追求し続けています。」

新たな挑戦を続ける一方で、1980年代から続くサステナブルな取り組みにも一層力を入れているとフローラン氏は言います。

「今後、サステナブルな取り組みがこれまで以上に求められるでしょう。私たちは1980年代から畑仕事や栽培方法の見直しを行い、自社畑ではサステナブル農法を実践してきました。しかし、これは一朝一夕で結果が出るものではありません。自分たちの畑だけでなく、この地域の多くの生産者と協力し、環境保護に取り組むことが重要だと考えています。

そこで2011年に、複数の生産者と連携し『コルトンの風景を守る会』を設立しました。ブドウ畑の土壌侵食や排水問題に取り組み、近隣の生態系にも配慮したワイン造りを行っています。」

また、多くのワイン生産者にとって脅威となっている温暖化をはじめとした気候変動への対策についても教えていただきました。

「気候変動についてよく質問をいただきますが、現時点では熟度やアルコール度の安定といった点で、ポジティブな影響が多いと感じています。しかし、この気候の変化に対応していくためには、さまざまな努力が必要です。

例えば、以下の図をご覧ください。年々収穫日が早まっていることわかります。気温の上昇により、ブドウの収穫時期が早まっているのです。ブドウの品質を保つためには、収穫時期だけでなく、収穫時間をいかに短くするかも重要です。そのため、以前は14日かけていた収穫を現在では10日間で行っています。これを実現するためには、暑い日に働いてくれる人手が必要となります。

さらに2023年は熱波の影響があり、2024年は湿度が高いなど、年ごとに異なる気候条件があります。こうした変動に柔軟に対応するためには、その年ごとの特徴に合わせた施策を講じることが重要だと感じています。」

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収穫日の変換図

ルイ・ラトゥールでは、他にも多くの取り組みを行っています。

「オーガニック栽培もその一つです。来年には、自社畑においてオーガニック認証を取得する予定です。しかし、オーガニックは品質向上にとって必須の条件ではないと考えています。なぜならば、気候対策や畑仕事をしっかりと行えば、良いワインは造れると経験上わかっているからです。しかし、オーガニック栽培は、私たちのワインをさらに進化させるための一つの手段だと捉えています。まだまだ学ぶことが多いですが、オーガニック栽培を続け、その結果として品質に良い影響が表れるなら、非常に嬉しいことです。

また、2008年には『ピノ・ワノール財団』を設立し、38の生産者が協力してピノ・ノワールの良い遺伝子を残すための研究を行っています。小さくてもしっかりとした色調と果実の凝縮感があるピノ・ワノールを選び残していくことで、ブルゴーニュ全体の品質向上を目指しています。」

最後に、フローラン氏はこれから先のワイン造りについても教えてくれました。

「現在行っている取り組みの成果が表れるには、まだ時間がかかると思います。しかし、次の世代へより良い状態でワイン造りを継承していくためには、地道な努力が必要です。

また、現在ワイン造りにおいてはハイテク化が進んでおり、膨大なデータが蓄積されています。このデータをどのように活用し、『ルイ・ラトゥール』の品質向上に結びつけるかを考えながら、私たちは日々ワイン造りに努めています。

そして、私たちは規模の大きなメゾンとしての責任を強く自覚しています。品質の向上と持続可能性の追求を通じて、ブルゴーニュの未来を守っていきたいと思います。」

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CEOのフローラン・ラトゥール氏とコマーシャル・ディレクターのブリュノ・ペパン氏

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プレスセミナーで提供された「ルイ・ラトゥール」と「シモネ・フェブル」の珠玉のワイン8