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エノテカ株式会社(本社:東京都港区、社長:堀慎二)が正規代理店として取り扱う、ドイツのライジングスター「クランプ」より、栽培責任者のアンドレアス・クランプ氏が来日し、ショップでのテイスティングイベントやメーカーズ・ディナーを開催しました。
今回が初来日となるアンドレアス氏。「クランプ」は、ドイツ南部のバーデン=ヴュルテンベルク州でウルリッヒ・クランプ氏とマリエッタ・クランプ氏夫妻が1983年に創業した家族経営のワイナリーです。ワイナリーが位置するクライヒガウのブルッフザールは、フランスとの国境からわずか50 kmほどに位置し、ドイツ国内でも随一の美食の街として知られています。フランスとの近さから、この地は土壌と微気候、この2点においてフランスとの類似性が見られます。ドイツは素晴らしいリースリングが造られることで有名ですが、この地ではリースリング以外にも、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、シャルドネ、オーセロワなど、ブルゴーニュでよく育つ品種が栽培されています。
ガレージワイナリー*1として設立され、小さな土地でのワインメイキングからスタートしたクランプ。0.5haの畑で生産量わずか1,000~2,000本から始まりましたが、今では25haの自社畑を所有し、年間約30万本のワインを生産、26カ国へ輸出しています。レストランをはじめ卸売りの販売先が多く、全体の6割を占めているとのことです。
「"食事と寄り添う"がワイン造りのミッションです。どんな食事とも合いやすいワインを造っているため、様々なレストランで採用いただいています。ドイツ国内にある約230の星付きレストランのうち、150のレストランが我々のワインをオンリストしてくださっています。また、ドイツ語のガイド雑誌では "ドイツの最も優れたワインの一つ" と称賛されたこともあります」。
アンドレアス氏は高校卒業後、ワイン学校で学び、様々なワイナリーでインターンシップを経験しました。ドイツ、オーストリア、南アメリカのワイナリーで研鑽を積んだ後、ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネの生産者メオ・カミュゼにて8カ月間研修を受けました。2010年にクランプに参加し、現在は栽培責任者として活躍しています。「より良いワインを造る」ため、1週間に1回、20種類ほどのブラインドテイスティングを行い、現在の自分たちのワインの世界の中での立ち位置を確認しながら、兄のマルクス・クランプ氏や熱意あふれるスタッフと共に、今後のビジョンを語ることもあるそうです。
クランプは1992年よりオーガニック栽培*2を開始し、1996年に認証を取得しています。アンドレアス氏によれば、ドイツ国内のオーガニック畑の比率は約3%である中、クランプは90年代からオーガニック栽培を行っています。畝間に畑をきれいにしてくれる植物や、窒素分を補ってくれるマメ科の植物を植えるなど、自然の力を借りながらオーガニック栽培を実践しています。また、昨年からはビオディナミ栽培*3も開始し、月の満ち欠けのスケジュールを導入してワイン造りを行っています。
昨今注目されている気候変動について、アンドレアス氏は以下のように話されていました。
「温暖化が進むことで、良い面と難しい面があります。良い点としては、もともと冷涼であったバーデンの地が20年前のブルゴーニュのような気候に近づいていることです。一方、難しい点は、気候が極端になってきていることです。以前は平均的に雨が降っていましたが、今は3~5週間の乾燥した天気が続いた後、突然大雨が降るなど、天候が極端になってきています。これは他の栽培地と同様にバーデンでも起こっています」。
この気候変動に対して、灌漑を行うなどの対策を講じる生産者もいる中、クランプでは天然の植物から作る肥料(コンポスト)を土壌に混ぜ込んでいます。この肥料が土壌の湿度を高め、さらに保水能力を持たせることで、乾燥に対する耐性をもたらしてくれるのだそうです。
より良いワインを造り続けることへの努力を惜しまないアンドレアス氏。オーガニック栽培や気候変動への取り組みを通じて、土壌の個性を最大限に表現するクランプの情熱的なワインメイキングを、ぜひワインを通じてご実感ください。