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2024. 06. 26
生産者来日

ワインメーカー、マイク・ウォーラー氏が語る、創業者ジョシュ・ジェンセン氏から受け継いだ「カレラ」の伝統

 エノテカ株式会社(本社:東京都港区、社長:堀 慎二)は、2024年4月より正規代理店として取り扱いを開始したアメリカ・カリフォルニアの「カレラ」について、初めての来日イベントを開催しました。

calera_main.jpgカレラのワインメーカー マイク・ウォーラー氏(左)、ザ・ダックホーン・ポートフォリオのカール・コーヴニー氏(右)

 4月に来日したのは、カレラのワインメーカーのマイク・ウォーラー氏と、カレラを傘下に持つザ・ダックホーン・ポートフォリオのアジア太平洋、アフリカ、中東営業担当ディレクターのカール・コーヴニー氏です。ショップでのテイスティングイベントやマスタークラスなどが行われ、創業者である故ジョシュ・ジェンセン氏が築き上げたカレラのワインの魅力について詳しくお話いただきました。

 「創業者のジョシュ・ジェンセン氏を語らずにカレラを語ることはできません」と、カール氏はまずジェンセン氏について話を始めました。

 「ジョシュ・ジェンセン氏は、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティやドメーヌ・デュジャックなど、フランスの錚々たる生産者のもとで経験を積み、ブルゴーニュのワイン造りに傾倒しました。彼は、区画ごとの土壌の表現や、石灰質土壌から生まれるワインのピュアさや酸の表現に魅了され、カリフォルニアでブルゴーニュと同様の石灰質土壌の土地を探しました。そして1974年、セントラル・コーストのマウント・ハーランについに理想的な石灰質土壌を発見し、ブドウ栽培を始めました。」

 「醸造に関しても、ブドウの果皮と種子、果肉、梗を一緒に醸す全房発酵、樽を使った発酵、澱の攪拌など、ブルゴーニュ的なワインメイキングを取り入れました。」

 「ジェンセン氏がワイン造りを始めた1970年当時のアメリカでは、その土地ならではの個性を表現したワインを造っている生産者はいませんでした。そんな中ジェンセン氏は、ブルゴーニュのワイン造りのノウハウをカリフォルニアに持ち込み、マウント・ハーランの単一畑でそれぞれのテロワールの特性を見事に表現したワインを造り上げたのです。」

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カレラの創業者 故ジョシュ・ジェンセン氏

 マウント・ハーランの畑は標高約670~762mに位置し、セントラル・コーストの中で最も冷涼な畑の一つです。気候はブルゴーニュ南部の気候に近く、雨が少なく、涼しい風と安定した日照量で、長い生育期を保持できるのが特長です。乾燥しており土壌の水分量が少なく、石灰質土壌の影響もあって収穫量が少なくなることから凝縮感の高い果実ができ、それはワインの複雑味や熟成能力にも繋がっています。

 「今回のイベントでテイスティングいただいている『マウント・ハーラン・ド・ヴィリエ』の2012年は、深みが出てきていますが、色が鮮やかでみずみずしく若さもあり、熟成のポテンシャルを感じていただけると思います。マウント・ハーランの6つの単一畑は、同じように熟成を重ね、成長し、向上するポテンシャルがあります。複雑さが何層にも重なり、広がり出す飲み頃のタイミング"を選ぶとしたら、8〜10年というのが共通点になるのではないでしょうか。」と、マイク氏が興味深いカレラのワインの熟成能力について話してくれました。

 カレラではマウント・ハーランの単一畑のワインのみならず、セントラル・コースト産のより親しみやすいワインも手掛けています。「1980年がファストヴィンテージの『セントラル・コースト』シリーズは、南北400kmにわたる非常に広大なAVA※1から生まれるワインです。これらは、ジェンセン氏がブルゴーニュのワインからインスピレーションを受けて造りました。良いブドウをセレクトすることによって、カリフォルニアのピノ・ノワールではありますが、ブルゴーニュのようにバランスが取れたフードフレンドリーなスタイルのワインを生み出しました。」

※1:American Viticultural Areasの略。"政府認定ブドウ栽培地域"を表し、産地の境界線を定めるもの。

 1990年には、ジェンセン氏が見出したカレラのみがワイン造りを行うマウント・ハーランの地がAVAに認定されました。またブルゴーニュから持ち帰ったという噂があるカレラ・セレクション・クローンを使用しており、これは今や "ヘリテージ・クローン=歴史的に受け継ぐべき優れた品質のブドウのクローン"として、カリフォルニア全土で栽培されています。

 カレラのワイン造りにおいて重要なこと、それは「All about Showing Site」、つまりピノ・ノワールを使って区画ごとのテロワールを表現することです。そんなテロワールの表現のために重要としているのが「Less is More」の考え方です。オーガニック栽培※2を行い、野生酵母での発酵や全房発酵、新樽の使用を控え目にするなど、栽培と醸造の両方において、極力人の手を加えない非介入主義を貫き、ありのままのワイン造りを行っています。

※マウント・ハーランの自社畑において2008年にカリフォルニア・サーティファイド・オーガニック・ファーマーズ(CCOF )のオーガニック認証を取得。

 日本文化や日本食が好きだというマイク・ウォーラー氏は、カレラで18年目のヴィンテージを迎えます。ワイン醸造学において世界的権威として知られるカリフォルニア大学のUCデイヴィスで栽培醸造学の学位を取得し、ベリンジャー、セインツベリー・ワイナリー、デイヴィットブルース・ワイナリー、シャローンなど、カリフォルニアで上質なピノ・ノワールを手掛ける生産者で経験を積み、2007年よりカレラでのキャリアをスタートしました。ジェンセン氏と醸造や栽培に対する哲学や味覚の感覚などが似ていることがわかり、入社後わずか2年でヘッド・ワインメーカーに就任しました。

 「ジェンセン氏は、世界中でピノ・ノワールを造る醸造家にとって間違いなく"レジェンド"といえる存在です。」

 「幸運なことにジェンセン氏と12年間一緒に働くことができました。そして私は今も、カレラの伝統を受け継いでワインメイキングを行っています。カレラでの18年のキャリアの中で、ワイン造りにおける大きな変化は、当初非常にタンニンの強かったド・ヴィリエの除梗をやめ、全房発酵にしたことくらいで、他は特にありません。ジェンセン氏が2022年まで存命で明確なビジョンがあったので、それに従ってきました。これからも彼の遺志を受け継ぎ、テロワールを表現したワインを造っていきたい」と力強く話していただきました。

 ジョシュ・ジェンセン氏の手によって築かれたカレラのワインは、テロワールの本質を余すことなく捉え、深みのある味わいと共に歴史を紡いできました。次世代に引き継がれたそんなカレラのワインから、今後も目が離せません。

calera_bottle.pngセミナーで提供された、4つの単一畑を含む8種のワイン